これってもしかしてイヤイヤ期?
最近子供が全然言うことを聞いてくれない…。何を言っても「イヤ」と言われる…。子供が突然親に対して反抗的になったり、否定的な態度をとったりするのは、イヤイヤ期に入ったからかもしれません。
親にとってはとても大変な時期ですが、子供の自我や自立心が芽生え始めたサインでもあります。
今回の記事では、なぜイヤイヤ期が起こるのか子供の行動の理由について解説します。ひどくなる関わり方ややってはいけない対応、そしてつらい時期を乗り越えるための対処法についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
イヤイヤ期とは?特徴を解説
イヤイヤ期とは、子供が成長過程の一つです。自我が芽生えて、自己主張が激しくなる時期のことを言います。
自分の意にそぐわないと「イヤ」を繰り返すので親にとっては大変な時期ですが、子供の発達に必要な過程でもあります。
2歳前後に始まる第一次反抗期
子供のイヤイヤ期は、2歳前後がピークとなるケースが多くなります。「魔の2歳児」と呼ばれるのはこのためです。
「我慢」を司る前頭前野は、脳の中でも成長がゆるやかな部分です。2歳ごろは自我が芽生えるのに対して前頭前野が未発達であり、子供は我慢ができません。
自我の芽生えと未発達の前頭前野が衝突して、感情を爆発させたり癇癪を起したりといったことが起こります。
ただし、自己主張の強くない子や穏やかな性格の子である場合、イヤイヤ期がないケースも存在します。
3~4歳で落ち着くことが多い
子供のイヤイヤ期は「いつまで続くのだろう」とパパやママは不安になるものですが、多くの子供が3~4歳で落ち着いていきます。
3~4歳になると言葉が発達して、自分の感情を言葉で表現できるようになり、癇癪を起すことが少なくなります。
言葉の発達が早い子の中にイヤイヤ期がない子が見られるのは、親に対して自分の感情や欲求を言葉で伝えられるためです。
なぜ?イヤイヤ期の行動の理由とは
子供が「イヤ」を繰り返したり癇癪を起したりするのには、親は悩まされますよね。イヤイヤ期の子供はなぜこのような行動をとるのでしょうか。
ここからはなぜ子供が反抗的な態度をとるのか、その理由について説明します。子供の心理がわかれば、対応するときも気持ちが楽になるはずです。
「自分で何かをやりたい!」自我が芽生え始めるから
2歳ごろになると子供の中で自我が芽生えて、何でも自分でやりたい気持ちが強くなります。自分の中でルールも形成されます。
「自分でやる」と決めたときに、うまくいかない様子を見てパパやママが手伝うと「そうじゃない!」と感情が爆発してしまうのです。自分のルールに沿わない行動を親がとったときも同じです。
言葉が未発達で、自分でやりたい気持ちをうまく伝えられないために癇癪を起します。
何に対して癇癪を起こしているのか分からなくなるから
イヤイヤ期の子供は、まだ理論立てて物事を考える力が十分に発達していません。自分の思い通りにいかなくて癇癪を起しているうちに、自分でも何に対して癇癪を起しているのかわからなくなります。
自分の不快な感情の原因が自分でもわからず、ストレスやパニックを感じて、ますます癇癪がひどくなるのです。
自分でどうにもならない感情をパパやママに何とかしてほしいという、子供からのサインでもあります。
自分の要求を通したい気持ちが強くなるから
自我が芽生え始めた子供は、自分の中で欲求やルールができます。自分の欲求やルールを押し通そうとするために、そこにそぐわないと「イヤ」を繰り返したり、癇癪を起したりすることになります。
イヤイヤ期の子供は、まだ柔軟に考えたり我慢したりできません。自分の思い通りになるまで、何とか欲求を通そうと感情を爆発させます。
イヤイヤ期がひどくなる関わり方は?
イヤイヤ期には、パパもママも疲れ切ってしまいます。「なぜそんなことをするの?」とイライラしてしまうことも。
そしてつい、子供の行動が余計にひどくなるような対応になることが珍しくありません。ここからは、イヤイヤ期の子供の行動が余計にひどくなる対応について解説します。
子供の「自分でやる」行動を待たない
子供が自分でやろうとしていることを待たずに手伝ってあげるのは、イヤイヤ期の子供の癇癪を余計にひどくしてしまう対応です。
「うまくいかないから癇癪を起しているのかな」と勘違いしてしまうケースもあるかもしれません。親がやったほうが早いと、つい手を出したくなりますよね。
しかし、イヤイヤ期には根気強く待ってあげることが大切です。危ないことやしてはいけないことをしようとしているとき以外は、パパやママは過度に干渉しないようにしましょう。
向き合う時間が短い
子供に向き合う時間が少ないことも、イヤイヤ期の子供の行動をひどくする原因となります。子供は、パパとママに甘えたい気持ちから癇癪を起していたり、自分でどうしようもない気持ちを何とかしてほしくて感情を爆発させていたりします。
あまり自分に時間を使ってもらえないと、突き放されたような気持ちになるでしょう。
また時間に余裕を持つことは、パパやママの心の余裕にもつながります。イヤイヤ期の子供と接する親のストレスを減らすためにも大切なことです。
頭ごなしに叱ってしまう
子供を頭ごなしに叱ると、子供の行動は余計にひどくなる可能性が高くなります。自我が芽生え始めたイヤイヤ期の子供には、自分の中でのルールがあるのです。
頭ごなしに叱られると「そうじゃない!」とストレスやパニックになって、さらに自分の欲求を押し通そうとすることが考えられます。
ただ、どうしても注意しなければならないときもありますよね。そのときは、落ち着いてそのことを伝えましょう。この時期の子供は自分の気持ちをうまく言葉にできません。時間をかけて、子供と会話する必要があります。
イヤイヤ期がない子もいる?その理由は
イヤイヤ期が子供の成長過程と聞くと、パパとママは「なぜ自分の子だけイヤイヤ期がないのだろう…」「発達に問題があるのでは…」と不安になってしまいそうですよね。
しかし中にはイヤイヤ期がない子供もいるため、心配はいりません。ここからは、子供にイヤイヤ期がない理由についてご紹介します。
個人差
子供には、それぞれ生まれ持った性格があります。子供の性格によって、イヤイヤ期にも個人差があり、ひどい子もいればまったく感じられない子もいます。
自己主張が激しくない子・大人しい子・性格が穏やかな子などは、イヤイヤ期がなかったりひどくなかったりすることが珍しくありません。
親の捉え方
イヤイヤ期があったかどうかは、親の捉え方によっても変わります。子供の行動に対して楽観的であったり前向きに捉えたりする性格のパパやママであれば、イヤイヤ期に気づかないことも考えられます。
子供が言うことを聞かないのは、ある意味では当たり前ですよね。子供がイヤを繰り返して騒いでいても、深刻に捉えない親であれば気づかないままイヤイヤ期を終えているケースもあるでしょう。
発達状況
子供の発達が早いと、イヤイヤ期がない場合があります。2歳ごろの子どもは言葉が未発達なために、自分の欲求を伝えられずに癇癪を起こすケースが多く存在します。
しかし、中には他の子供と比べて言葉を覚えるのが早い子も。自分の感情を上手に言葉にしてパパとママに伝えられる子供は、癇癪を起こして伝えようとする必要がありません。
親とよくコミュニケーションがとれていることで安心感を得られるために、気持ちが安定していることもあるでしょう。
イヤイヤ期にやってはいけないダメな対応
イヤイヤ期は、子供の成長において大切な時期でもあります。パパとママが間違った対応をしないように気をつけたいですよね。
子供のイヤイヤ期には、子供を突き放したり叱りすぎたりしないように注意が必要です。
子供を突き放す
前述したように、イヤイヤ期の子供は親に甘えたい気持ちから癇癪を起こすことがあります。自分でもよくわからないイライラした感情を、パパとママに何とかしてほしいと伝えるSOSであるケースも。
そのようなときに親から突き放されると、子供は自分が守られているという感覚を失って、パパとママへの信頼も揺らいでしまいます。
イヤイヤ期は親にとっても大変な時期です。自分がイライラして子供を叱ってしまわないようにとわざと距離を置こうとするパパとママも少なくありません。しかし親が子供のためと思って距離を置いても、子供は見捨てられたように感じるおそれがあります。
パパとママがそばにいてくれるだけで子供は安心するのです。癇癪を起こす子供を、ただ近くで見守ってあげることに意味があります。
叱り過ぎる
イヤイヤ期に親が子供を叱りすぎると、子供の自己肯定感が下がってしまう可能性があります。
イヤイヤ期には、「自分の思うとおりにできた」「自分のやりたいことをやらせてもらえた」という経験が、子供の自己肯定感を上げるのです。
ただ、どうしても子供の希望通りにさせてあげられないケースもありますよね。危険なことやしてはいけないことを、子供がやりたがっているからといって希望通りにさせるわけにはいきません。
そんなときは、子供を否定したり必要以上に叱ったりせずに「それはダメ」だと事実だけを伝えるようにしましょう。
子供のことを理解しようとして「なぜそれがしたいの?」と聞くパパとママもいますが、この時期の子供はまだ説明できません。自分では理由がよく分かっていない場合も多く存在します。
子供自身もなぜかわからなかったり説明できなかったりする場合には、お互いに余計にストレスになってしまいます。そのような場合には、シンプルに事実だけを子供に伝える方法がおすすめです。
イヤイヤ期を乗り越える6つの対処法
子供のイヤイヤ期は、親にとっても過酷で疲れる時期ですよね。しかし正しく対応する方法を知っていれば、パパとママの負担も軽減できます。
最後にイヤイヤ期を乗り越える対処法についてお伝えします。
褒めることを大切にする
イヤイヤ期は、子供にとって自己肯定感を育む時期でもあります。ちょっとしたことでも、ぜひ褒めてあげるようにしてみてください。
大げさなことでなくて構いません。ご飯を食べられたと褒めるだけでも、子供は自分に能力があることや愛されていることを実感できます。
普段の何でもないことを褒めることは、そのままの子供を認めることにもつながります。
気分転換をする
子供に時間をかけて接することが大切であると同時に、パパとママには気分転換も必要です。子供とだけ向き合っていると、どうしてもストレスが溜まる上に、視野が狭くなってしまいます。
パートナーと交代で子供の面倒を見たり、他に頼れる人がいれば頼ったりして、少しの時間でもいいので自分の時間を確保できると気持ちに余裕ができます。
自治体や民間の一時保育やベビーシッターのサービスを利用するのも一つの方法です。
パートナーや周りの人に相談する
苦しくなったときには、周りの人に相談するのもおすすめです。子供のイヤイヤ期は、1人で乗り切らなければならないものではありません。
1人で考えていると「自分のやり方は本当に正しいのだろうか」と不安になることもありますよね。不安や心配を抱えていると、疲れているところに余計にプレッシャーになります。
一緒に育児を頑張っているパートナーや同じ経験をしている先輩に話を聞いてもらえれば、それだけで安心できて心強いものです。
いろいろな遊びに触れさせる
イヤイヤ期の子供には、意識的にいろいろな遊びに触れさせるようにしましょう。自我が芽生えて好奇心が強くなっているときなので、目新しい遊びに刺激を受ければ欲求が満たされる可能性が高まります。
気持ちが満たされれば、癇癪を起こす必要がなくなります。いろいろな遊びに触れることは、夢中になって遊べるものを見つけるのにも効果的です。
写真や動画など形に残しておく
育児における大変な時期の真っただ中にいるときには余裕がなくなりがちですが、実はイヤイヤ期も2度と戻ることのないかけがえのない時間です。
子供の行動を写真や動画などに記録しておきましょう。撮影していると、自分の中でも特別な時期であることを実感できます。
一瞬で通りすぎてしまう時期であることを冷静に理解すれば、愛おしい時間であると感じられる瞬間がくるかもしれません。
気持ちを代弁してあげる
2歳ごろの子供は言葉が未発達で、多くの場合は気持ちを言葉にして伝えられません。しかし、パパとママにわかってほしいからこそ癇癪を起こしています。
子供の気持ちを読み取って、代弁してあげることを心がけてみてください。代弁しようとすることで、親もより子供の気持ちに近づけます。
そのためには、時間をかけて子供と向き合うことが必要です。
イヤイヤ期を子供と一緒に乗り越えよう!
イヤイヤ期は、子供にとっても親にとっても大変な時期ですよね。しかし同時に、子供が自己を確立したり自己肯定感を育んだりするための大切な時期でもあります。
また、振り返ってみれば一瞬で終わってしまうかけがえのない時間です。子供が小さいときの時間というのは、永遠に続くものでもなければ、再び取り戻せるものでもありません。
子供への対応方法がわかっていれば、訳がわからない状態で接しているよりも気持ちが随分楽になります。「きちんと対応できた」と思うことは、親としての喜びや自信にもつながるでしょう。
子供としっかりと向き合って、親子でイヤイヤ期を乗り越えていきましょう。