「共感性羞恥とは?」読み方や意味、特徴や治し方まで解説

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最近よく耳にする「共感性羞恥」という言葉

ドラマや映画を見ているとき、主人公が失敗するシーンやカッコつけているシーンが苦手だ。まるで自分がそうなったときのように恥ずかしさを感じる。自分がその対象になったわけでもないのに、恥ずかしさを感じて心が痛い。これは一体何なの?こうなるのは私だけ?

最近よく耳にする「共感性羞恥」という言葉。特にSNS上で「共感性羞恥」について見聞きすることも多いかもしれません。多くの人がさまざまなシーンで感じてしまう、共感性羞恥とはどのようなもので、どのようなときに感じるのでしょうか。

共感性羞恥とは

「共感性羞恥」について、まずは読み方から意味、どのような感覚を指すのかを簡単にご紹介します。共感性羞恥の感覚がわからない人も、知っておくと良いでしょう。

「共感性羞恥」読み方とは

「共感性羞恥」は「きょうかんせいしゅうち」と読みます。

「なぜか気恥ずかしさを感じてドラマや映画を見られない」という人たちも、共感性羞恥のせいだった可能性も考えられるでしょう。

「共感性羞恥」の意味

共感性羞恥は、他人が恥をかいている場面を見て、自分も恥ずかしくなってしまう状態を意味します。まるで自分が同じ目に遭っているかのように、いたたまれなさを感じてしまうのです。

他人の意見や感情に同調することを「共感」と言いますが、共感性羞恥は感情の中でも“恥ずかしい”という気持ちに深く共感し、自身も恥ずかしさを実感することが特徴です。

共感性羞恥を感じやすい人の特徴とは

共感性羞恥は、感じやすい人もいれば全く感じない人もいます。それでは、共感性羞恥を感じやすい人とはどのような人なのでしょうか。

想像しただけで自分がその状況下にいるように感じる

想像力が豊かで自分ごととして捉えやすい人は、共感性羞恥を感じやすいと言われています。自分がその状況下に置かれて、まるでその恥ずかしい言動を行なっているかのように感じてしまいます。

大きな声で怒られている場面やドラマで失敗しているシーンなど、自分がその場にいた際に感じるであろう周りの目まで想像し、その状況下にいるように感じてしまいがちです。

周りの目を気にしてしまう

共感性羞恥を感じやすい人は、周囲の目を気にする傾向にあります。他人にどう見られているのか、相手に恥ずかしい姿を見られていないかなど、周りからの目を気にして行動してしまいます。そのため、自分の行動に自信をもつことが苦手です。

TVやドラマ内の失敗を自分ごとのように感じてしまうのは、「自分がその立場だったら」と想像し、そのときの周りの目すらも気になってしまうからだといえます。

交友関係が狭い

交友関係が狭いと、経験に差が出ます。交友関係が広い場合は恥ずかしい思いを多く経験したとしても、会う頻度が少ない人とのエピソードについては、時間が経てばお互いに忘れられるでしょう。

しかし交友関係が狭いと、失敗や恥ずかしいエピソードといつまでも付き合うことになります。自分自身がそのエピソードを忘れられないため、「私がもしあの仲間達の前でこうだったら…」と考えてしまい、共感性羞恥を感じやすくなるでしょう。

HSPの気質がある場合も

共感性羞恥を感じやすい人の中には、HSPの傾向が強い人も少なくありません。HSPはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)といい、生まれつき敏感で繊細気質を持つ人のことを指します。その繊細さゆえ、共感性羞恥が強くなってしまうのです。

ただしHSPは自己判断ではなく、心療内科やメンタルクリニックなどで診断されるものです。共感性羞恥とともに日常生活にも支障が出そうな場合は、クリニックの判断を仰ぐことも大切です。

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共感性羞恥を治す3つの方法

共感性羞恥には個人差があります。共感性羞恥によってドラマやTVをまともに見ていられない、仕事や人付き合いが苦手になるなど、自分にとって不利なことが起こっていると感じる人も多いでしょう。共感性羞恥に対する対策はあるのでしょうか?

自分と他人は別物だと考えるようにする

共感性羞恥を感じやすい人は、他人のことを自分のことのように感じてしまいます。優しさや共感力が高いという言い方もありますが、それではいつまでも共感性羞恥でいたたまれない思いをすることになります。

自分と他人は全くの他人であり、別の生き物・別の人生・別の人間関係を有していることを再度自覚しましょう。共感しても、羞恥を感じる必要はありません。

過去の経験を受け入れ、笑い話にする

過去を変えることはできません。テストでとった悪い点も、先生をおかあさんと呼んでしまったあの頃も、上司にタメ口を聞いてしまった日のことも、取り消すことはできません。

いつまでも恥ずかしがるのではなく、笑い話として消化しましょう。共感性羞恥を感じやすい人は、今までの経験や失敗を受け入れられずに燻っているせいで、他人の恥ずかしい行動が自分と重なってしまう傾向にあります。

自分自身が笑い話にできれば、多くのことが今この瞬間から過去になり、笑って流すことにも慣れてくるでしょう。

さまざまな経験をしてみる

さまざまな経験をして、恥ずかしい思いや失敗も受け入れる体制を作りましょう。経験や知見が少ないと、「私ならあんな失敗しないのに」という思いから「あんな失敗するなんて恥ずかしい」と共感性羞恥を感じてしまいやすくなります。

多くの経験を積み、失敗や恥ずかしさ、逆にプラスになることまで自分の中で受け入れましょう。

共感性羞恥はまだわからないことが多い

「共感性羞恥」は名前こそついていますが、まだわからないことが多い感情だと言われています。個人差があるため、同じように共感性羞恥を感じやすい人でも、感じるシーンが異なることも多いでしょう。

共感性羞恥については明確なボーダーラインがないため、判断が難しいとも言われています。他人の感情に敏感だからこその感情だという人もいれば、プライドの高さからくる恥ずかしさだという判断を下す人もいます。

共感性羞恥と一つにまとめられがちですが、実はわかっていないことも多いのです。

共感性羞恥そのものを理解し、自分の感情も理解しよう

ドラマや映画、日常生活でも、さまざまな場面でなんだか恥ずかしくなってしまっていたたまれない、思わず目を背けてしまうということが多かった。これは私だけかなと悩んでいたこともあったけど、名前がついていて、同じように感じる人も多いことに少しだけ安心した。

共感性羞恥は悪い感情ではありません。共感性羞恥がどのような感情で、自分がどのようなシーンで感じるのか、自分はそのときどんなことを思っているのか、理解しましょう。自分と向き合う、自分をさらに知るきっかけにもなるかもしれません。

mayan

Writer

フリーライター。女性向けトレンド分析などのマーケティングも行う。その豊富で多彩な人生観を活かし恋愛から生き方まで多岐にわたるジャンルを執筆。