

最近よく耳にする「ルッキズム」ってどういう意味……?

最近さまざまなところで、ルッキズムという言葉を耳にするようになったのでは。何となく否定的な意味で使われているイメージはあっても、詳しい意味やどうして社会問題になっているのか、よく知らない方もいるでしょう。
ルッキズムの意味をよく理解しないまま、人を苦しめてしまったり自分が苦しい思いをしていたりする人もいるかもしれません。
今回の記事ではルッキズムの意味と社会問題になっている背景について詳しく解説します。自分がルッキズムになっていないかをチェックするリストや苦しいと感じたときの対処法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ルッキズムとは? 意味を簡単に解説

ルッキズムとは、外見を重視して他者を判断する思想です。日本語では「外見至上主義」ともいわれます。性格や中身ではなく、身体的特徴に重きをおいて他者に対して偏見を持ったり差別したりすることを指摘するものです。
もともとは1970年代に、アメリカで肥満差別をなくす運動を広める際にメディアが作り上げた造語といわれています。痩せていることが美しく太っていることが醜いとするのはルッキズムの代表的な例です。
これまでも海外を中心に問題視されてきたルッキズムですが、最近では日本でも注目されるようになりました。
ルッキズムが社会問題になっている背景

最近日本でもルッキズムが注目され始め、社会問題として問題視されているのには背景があります。まずは、ルッキズムがどのように日常生活に浸透しているのかを見ていきましょう。
SNSやメディアで「美の基準」が固定化されている
ルッキズムが社会問題として浸透し始めたのは、SNSが大きく影響しているといわれています。SNSはすごい勢いで普及し、今では私たちの生活とは切り離せないものとなっていますよね。
以前は、メディアに出ている有名人だけが人々の評価対象であったのに対し、今は一般人も自分の姿を広く発信するようになりました。遠い存在である有名人だけでなく身近に感じられる一般人の投稿を見ることによって、以前よりも自分との比較が容易になっています。
また、SNSでは「いいね」などの反応がわかりやすい形で見られます。そのために「いいね」やリポストの数が自分の価値そのもののようにも感じて、より美しい容姿にならなければという強迫観念にも繋がりやすいのです。
SNSによって美の基準がわかりやすい形で固定化されているのも、ルッキズムを助長する原因と考えられます。
学校や職場での容姿いじり
学校や職場などでの他者への容姿いじりもルッキズムを助長する一因です。日本では長い間、バラエティ番組などでお笑い芸人が相手の容姿をいじって笑いをとる文化が容認されてきました。
このような文化の影響も受けて、身近な場所でも相手の容姿をいじるのがおもしろいと考えている人が増えたのではないでしょうか。しかし、実際には自分の外見をバカにされて気持ちがいい人はいないはずです。
容姿をいじられたことで深刻に悩んだり自分らしく生きられなくなったりする人もいると注目され始め、ルッキズムが社会問題として真剣に捉えられるようになってきています。
外見での評価が就職や人間関係に影響することも
容姿によって就職や人間関係に影響が出ることも少なくありません。日本では履歴書に顔写真を貼るのが一般的であり、長い間当たり前と考えられてきましたよね。
最近では、採用基準に外見が入っているのはおかしいと履歴書の顔写真について疑問視する声も広まり、実際に顔写真を不要とする企業も出てきています。
「太っている人は自己管理できない」「痩せている人は体が弱そう」などの決めつけは、人間関係や仕事での評価にも歪んだ形で影響しているおそれがあります。
【チェックリスト】知らないうちにルッキズム的思考になっているかも?

自分では偏った思想は持っていないと思っていても、無意識に人を外見で判断していることは少なくありません。自分が知らないうちにルッキズム的な思想になっていないかどうか、ぜひ次のリストでチェックしてみてください。
見た目で「なんとなくこの人は○○そう」と判断している
中身を知る前から見た目のイメージで相手のことを判断しようとすることもルッキズムに繋がります。「美人だから性格がきついかも」「太っているからだらしなさそう」と色眼鏡をかけてしまうと、相手の本当の姿が見えづらくなってしまいます。
ルッキズムに左右されないためには、自分が持っている固定概念を取り払って相手を深く知ろうとする気持ちが大切です。
外見を褒めるときに「それが正解」と思わせる言葉を使っている
自分では相手の容姿を褒めているつもりでも、言葉を受け取った側にとってはプレッシャーになったり傷ついたりするケースも存在します。「細くていいね」「目が大きいね」など特定の外見を指摘する褒め方を、相手はあなたと同じ感覚では受け取っていないかもしれません。
自分が痩せていることを気にしている人にとっては「細くていいね」という言葉は傷つく可能性がある、あるいは「細くいなくてはきれいじゃなくなる」と自分を追い込んでいることも考えられます。
自分や他人の容姿をネタにしたことがある
他人の容姿をネタにしていじるのは、ルッキズムだとわかりやすいものですよね。自分の外見をおもしろおかしく言われて、楽しい気分にはなりません。
同じように自分の容姿をネタにするのがルッキズム的な行為になるには、見落としがちな点ではないでしょうか。その場の雰囲気を盛り上げようとして自分の容姿を蔑むような発言は、知らないうちに自分自身を傷つけて自己肯定感を下げているおそれもあります。
見た目ですべてを判断されるのはとても苦しいこと

生まれ持った外見は、簡単に変えられるものではありません。自分ではどうしようもない部分であるのに外見で判断されるのは、誰にとっても苦しいことです。
人は誰でも見た目だけではわからない魅力を持っています。自分に置き換えて考えてみても、自分のことを何も知らない人から容姿だけで勝手に判断されるのはとても悔しいですよね。
つい相手の外見だけを見て勝手にイメージを膨らませてしまいそうなときには、自分がそうされたときの気持ちを想像するとブレーキをかけられそうです。
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ルッキズムに苦しいと感じたときにできること

実際にルッキズムを苦しいと感じている人は少なくありません。だからこそ、ルッキズムは今社会問題としてとりただされています。
最後にルッキズムへの対処法についてご紹介しますので、ぜひ苦しいと感じたときの参考にしてください。
「見た目=価値」という思い込みに気づいて距離を置く
ルッキズムが苦しいと感じるのは、自分もルッキズム的な思想を持ってしまっているときです。外見を理不尽に評価されたときに、ルッキズム的な思想に考えが引っ張られてしまうと苦しくなります。
あなたの価値は外見では決まりません。そのことがわかっていれば、他人から容姿について褒められたりいじられたりしたとしても、自分の気持ちが揺らがずに済むでしょう。
見た目以外を大事にしてくれる人と関わるようにする
外見を重視する人たちに囲まれていると、やはり「外見=価値」と思い込みやすくなってしまいます。常に容姿を美しくすることにプレッシャーを感じることになるでしょう。
あなたのことをよく知って中身を大事に考えてくれる人たちと関われば、外見以上に中身を磨くのが自分の中で大切なこととなります。必要以上に容姿への評価に振り回されることがなくなるはずです。
見た目で判断しない・されない意識を持つことが大事

人を見た目で判断しないようにすることは大切です。そして自分についても容姿で判断される存在でないことを知っておくことが同じくらい大切になります。
自分で自分の価値を認めていれば、人からの外見による判断に振り回される心配がありません。中身が大切であると自分の中で腑に落ちていれば、勝手なイメージで相手や自分を傷つけずに済むでしょう。
ぜひ、まずは自分の内面の価値を認めることから始めてみてください。
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