彼の好きな自分であり続けること──
私にとって、彼は人生のすべてだった。
何をするにも、どこへ行くにも、身にまとう服ですら、彼中心に考えるのが私の生き方だった。
誰に強要されたわけでもない。彼からお願いされたわけでもない。ただ、私がそうしていないと彼から好かれ続ける自信がなかっただけ。
彼の好きな自分で居続けることが、唯一自分の精神を安定させる“薬”のようなものになっていたんだと思う。
そう、きっと私は弱くて、小さくて、自信のない人間だった。
それは依存だと気づいたその日から
彼好みの服、メイク、アクセサリーを身にまとっても、自信のなさは改善することがなかった。どんなに彼中心の生活にしたって、不安は消えない。
「こうしていないと、嫌われるかも」
「こんな服を着たら、嫌がられるかも」
「この色のリップを試してみたいけど、彼は好きじゃなさそう」
そんなふうに自分を縛り続け、気づいたときには疲へいしてしまっていた私。ときには、「彼のせいで、自分の好きな服が着れないし、自分の好きなメイクもできない」と責任転嫁する日だってあった。
そして、あるとき気がついた。
「私は、“今の私”が好きなんだろうか?」「私は、“彼が中心の私”を愛せているんだろうか?」
答えは、NOだ。自分で自分を縛っても、彼中心の生活にしても、不安は消えないし、そんな私を私は愛せていなかった。私は、ただ彼に依存をしていただけなのだと気づいた。
彼からの「好き」や「愛してる」が自分の存在価値だと認識し、彼から好かれない自分は生きている意味がないとすら思っていた。
彼からの評価=人間としての評価と勘違いをして、彼への精神的な依存心を抱いてしまっていた。
自分で自分を押しつぶしていたのは、ほかの誰でもない、私自身だったのだ。
「自分のために生きている私」に魅力を感じてもらえるように
依存は誰のためにもならない。彼のためにも、私のためにも。
だからこそ、「これは依存だ」と気づいたその日から、自分のために生きようと決めた。
自分の好きな人とたくさん会おう。自分の好きな環境で生きよう。自分の好きな服やメイクを身にまとおう。自分自身のための時間を大切にしよう。
そしていつか、そんな私を魅力的だと言ってくれる人と、依存ではない恋をはじめたい。