アップデートされない価値観とされた価値観…どっちでもない私たちの行く末は?

Edit by mayan

「結婚に魅力を感じないんです。」

最近は「若者の結婚離れ」を取り上げたニュースをよく見かける。年齢が若ければ若いほど結婚への価値観がアップデートされているように感じるのは、私だけだろうか。

「結婚、考えたことないかも」「結婚するとお金かかるじゃないですか」「結婚しなくても、幸せになれる時代ですよ」年下と話したときに感じる、結婚への他人事のような感覚は、時として羨ましい。

こちとら結婚適齢期を迎えたとき長く付き合ったパートナーがいれば、結婚を意識せざるを得ないというのに。なあなあではなく、自分がどう生きたいかをよく考えたうえで決断を下すことに、何の疑問もないのだろう。

「あんたいい人いないの?」

アラサーくらいになれば聞こえてくる、結婚へのカウントダウン。結婚は義務ではないけれど、親世代から発せられる「結婚」「孫」という言葉たちに敏感になるくらいには繊細だ。

そもそも60代〜70代を迎える親世代は、わたしたちやわたしたちより年下の価値観とは少し違う。

結婚し、妊娠出産をするまでが当たり前だった時代。バリキャリ、子どもを持たない、結婚しないという選択肢がほとんどなかった時代だったのだ。

20代前半で結婚、あるいは30代に入るギリギリで結婚する人が多かった時代を生き、その当事者であった彼女たちにとって、アップデートしきれない部分である。

たとえ言葉にはしないまでも端々で感じる結婚や孫への期待を、私たちは処理しきれずにいるのかもしれない。

大事にしているものがたくさんある、ではだめですか?

恋人、友達、推し、趣味、仕事、無駄だとわかっている散財、夜まで遊んで帰る日の朝マック…。アラサーが近づくと聞こえてくる結婚への焦燥感と裏腹に、私には大事にしたいものが多すぎる。

大人になればなるほどできることも、かけられるお金も増えて、楽しいことばかり。自分ひとりで楽しめる娯楽や、趣味がたくさんある。

2023現在、アラサーは、中途半端だ。

価値観がアップデートされた世代と、アップデートされず結婚を望む世代。その狭間で、どちらの意見もわかりつつ、世の中の流れや世間体も気になるアラサー。

私たちのアップデートは、いまだに中途半端なままだ。

どっちも悪くない、だから私だって悪くない

私たちアラサーはどちらの意見もわかるし、ちょうど価値観が変わる時代を生きてきた。変わる前でも、変わった後でもない。価値観が変わっていく過程をすべて見てきているのだ。

“今日までAだったのに、いきなりZになる変化”は大きい。変化があまりなく、普遍的で家庭的な時代を生きてきていればなおさらだ。

どちらも悪くない。アップデートができているかいないか、その時代の当事者であるかどうかはまた別の話。

これはまた不思議なもので、これからさらに年齢を重ね環境が変われば、私たちは「そんなことを考えた頃もあった」と笑って過ごしているのだろうと思う。そして同じような相談を、年下の人たちから受ける日もあるかもしれない。

だから、私たちの考えだって悪くない。仕事が優先でも、1人の時間を気ままに楽しんでいても、結婚やパートナーの形がひとつでなくても。私たちの選択はいつだって正しいし、気に入らなければいつだって変えられる。

割と都合良く、柔軟な立ち位置が、私たちなのかも。そう思えば、少しは楽に生きられそうだ。

mayan

Writer

フリーライター。女性向けトレンド分析などのマーケティングも行う。その豊富で多彩な人生観を活かし恋愛から生き方まで多岐にわたるジャンルを執筆。