

自尊心が低いことで、生きづらさがつきまとう…

「自分自身を信じることができなくて、不安が尽きない……」
「自分は頑張っても何もできない……」
「他人に悪く思われているのではないかと怖くなる……」
誰かに相談することも難しい、でも尽きない悩み。自尊心の低さによる「生きづらさ」は、どうしようもなく苦しいもの…。
この記事では、自尊心とは何か、そして自尊心を保つための方法について解説していきます。
これまで悩み続けてきて、行き詰まってしまっている方のつらさを少しでも軽くできたら幸いです。
自尊心の意味とは

日常的にも広く使われている「自尊心」ですが、そもそも自尊心とは何なのでしょうか。
心理学において自尊心とは「自分自身を全体として肯定的に評価すること」と定義され、心理的健康に欠かせないものであると考える心理学者も多いです。言い換えれば、自尊心とは「さまざまな特徴を持つ自分に対し、どのように評価するか」という姿勢のことです。
参考:無藤 隆, 森 敏昭, 遠藤 由美, 玉瀬 耕治 『新版 心理学』(2018, 有斐閣) P381
自尊心を下げてしまう、7つの行動

自分に自信が持てないときや、なんとなく心が沈んでしまうとき、知らず知らずのうちに“自尊心”を傷つけるような行動をとっていることがあります。
「なんでこんなに落ち込んでしまうんだろう」と感じたときは、日常のちょっとした習慣や考え方が影響しているのかもしれません。
ここでは、自尊心を下げてしまいやすい5つの行動を紹介します。まずは、自分の心を守るヒントとして、チェックしてみてください。
1.自分を批判・否定してしまう
何かあるたびに「また失敗した」「自分はなんでこんなこともできないんだろう」と自分を責めてしまっていませんか?
日常的に自己否定を繰り返すと、知らないうちに自尊心はすり減っていきます。誰しも落ち込むことはありますが、必要以上に自分を責め続けると「自分には価値がない」と思い込み、自己肯定感の低下につながります。
完璧である必要はありません。ですが、自分が今できていること、頑張ってきたことに目を向けて、少しずつ自分を認めて労わってあげることが大切です。
2.周囲と自分を比較してしまう
人と自分を比べることが癖になっていると、自尊心が削られてしまいます。
SNSや職場、友人関係など、比べる材料があふれている現代では、「あの人に比べて私は劣っている」と感じることが増えがちです。
しかし、他人は他人、自分は自分。比べたところで自分自身の性格や能力が変わるわけではありません。むしろ比較は自尊心を不安定にし、自己価値を見失う原因にもなります。
過去の自分と比べてどう成長できたかを意識することで、自尊心を保つことができます。
合わせて読みたい:人は人、自分は自分!他人と上手に付き合い、自分らしく生きる人の特徴
3.上司や家族・恋人など、近しい人から否定的なことを言われる
家族や恋人、上司など、自分にとって大切な人の言動は、自尊心に大きく影響します。
「君にはできないよ」「なんでこんなこともできないの?」などの否定的な言葉を繰り返し聞くことで、少しずつ自分の性格として刷り込まれてしまいます。
とくに信頼している人からの言葉は、肯定的であっても否定的であっても心に深く残ります。大切な人の言葉をすべて真に受けないことができる人間はいません。
なので、自尊心を傷つけてくる人の元からは離れる習慣をつけましょう。それによって、出会って間もない段階で「この人は人を否定するタイプの人だ」「私の自尊心を傷つける人だ」と察知できるようになります。
4.過去の嫌な経験ばかり引きずってしまう
幸せな出来事よりも、過去の失敗や誰かに言われたつらい言葉を、今でも引きずってしまっていませんか?
人はポジティブな記憶よりも、ネガティブな記憶の方が残りやすい傾向があります。過去に起きたことを繰り返し思い出すと、「あのときと同じようになるのでは…」と不安が強くなり、自尊心も弱ってしまいます。
過去を変えることはできないし、自分が傷ついたことは消えてくれることはないけれど、今からはポジティブな言葉を向けてくれる人だけを大切にしてみませんか?
あなたを傷つけた人は、傷つけている意識がないかもしれません。そんな方のためにあなたが傷つく必要はありません。自分自身を最初から最後まで守り続けられるのは自分だけです。自分のことを第一に考えて、自分を守り、労わってあげてください。
5.他人からの評価にとらわれてしまう
「人からどう見られているか」「あの人から嫌われていないか」「自分は周囲から浮いていないか」と他人の目を気にしすぎると、自分の価値が他人からの評価によって左右されてしまいます。
褒められると安心し、否定されると落ち込む——この繰り返しは、自尊心を不安定にします。
あなたの人生を片時も離れずに見ているのは、あなただけです。あなたの一部だけをみて否定的な発言をする人の言うことは聞かなくていいです。そんなに優しくならなくていいのです。
自分の考えや自分の価値観、自分だけが持つ自分に対しての感情を大切にすることで、心のバランスを保つことができ、自尊心も高まりやすくなります。「他人がどう感じているか」よりも、「自分が自分に対してどう感じるか」を大切にしましょう。
6. 完璧でいようとしすぎる
常に「ちゃんとしなきゃ」「失敗しちゃいけない」と気を張りつめていませんか?
完璧主義は一見努力家の証にも見えますが、自分に対する厳しすぎる基準が、自尊心を削る原因になっていることもあります。
ミスや失敗を過剰に恐れることで、自己否定のループに入り込みやすくなってしまいます。「できなかったこと」より「できたこと」に目を向ける意識を持ち、自分に対して少し寛容になることが、自尊心を守る第一歩です。
7. 自分の感情を押し殺してしまう
「本当はつらいけど、言えない」「周囲の空気を読んで、いつも自分の気持ちを無視してしまう」「頼み事は、何も断れない」——そんなふうに、自分の本音を押し殺していませんか?
感情を我慢し続けることは、周囲には“気づかれない”かもしれませんが、自分の心を蝕んでしまうことがあります。自分の気持ちを無視し続けると、自分自身も「どうせ私の感情なんて大したことない」と、思うようになってしまいます。
まずは自分の感情を正直に認めること。それが、自尊心を保つ一つの方法です。
どんな状況でも自尊心を保つ7つの方法

ここまで、自尊心が下がる原因について見てきましたが、そうした原因がわかっても、すぐに自分の心を立て直すのは簡単ではありません。
だからこそ、自尊心を保つためには「日々の行動」や「思考の癖」を少しずつ変えていくことが大切です。
ここでは、どんな状況でも自分を見失わず、自分らしさを大切にできるような具体的な行動を7つ紹介します。できることから、少しずつ日常に取り入れてみましょう。
1.自分を許してあげること
「また失敗しちゃった」「なんでうまくできないんだろう」——そんなふうに自分に厳しくなりすぎていませんか?
人は誰しも失敗しますし、完璧ではありません。けれど、何度も自分を責めてしまうと、自尊心はどんどん削られていきます。
「まあ、そんな日もあるよね」と少し肩の力を抜いて、自分にやさしく声をかけてみましょう。欠点や失敗も受け入れて肩の力を抜くことで、しなやかな強さを持ち、自尊心を保つことができます。
2.自分の好きなところや得意なことを書き出し思い出す
自尊心が下がっているときは、自分の欠点ばかりが目についてしまうものです。
そんなときこそ、紙に「自分の好きな部分」や「得意なこと」をリストアップしてみることが効果的です。
どんなに小さなことでも構いません。「今年に入ってから遅刻していない」「夜更かしが減った」「昨日上司が褒めてくれた」「トイレ掃除が嫌じゃない」など、ポジティブな視点で自分を見直す練習になります。
書き出すことで、客観的に自分を再確認でき、自分の存在に少しずつ自信が持てるようになっていきます。
3.自分を否定する人から離れる・距離を置く
どんなに自分を大切にしようとしても、身近な人から否定的な言葉を浴び続けると、心は傷ついてしまいます。
特に親しい相手や職場の上司などからの言葉は、自分の価値観や性格に大きく影響します。
すぐに距離を取ることが難しい場合は、信頼できる第三者に相談したり、心の中で「それは相手の意見にすぎない」「私とは考え方が違う人だ」と切り分けて捉える習慣を持ちましょう。
自尊心を守るには、まず安心できる人間関係を選ぶことも大切です。
4.自分をケアする時間を作る
毎日忙しく過ごしていると、自分のことを後回しにしがちになります。でも、自尊心を保つためには「自分自身を大切にする時間」を持つことが重要です。
家で映画やドラマを見る、ゆっくりお風呂に入る、無心でゲームをするなど、自分がリラックスできる時間を作ってあげてください。
「今日は夕飯作らない!だって私残業頑張ったし!」、「明日は午前休にして、たくさん寝ちゃおう」と自分を甘やかすことも時には大切です。
よく見るような「早寝早起きの習慣をつけて、朝からゆっくり読書を─」「ヨガなどで自律神経を整えて─」なんてハードルの高いことしなくて全然大丈夫です。とにかく自分を楽にすることだけ考えてあげましょう。
「私は私を大切にしている」と感じられる時間が、次第に自尊心を取り戻してくれます。
5.意識的にポジティブな発言をする
自尊心が低くなっているときほど、物事をネガティブに捉えてしまいがちです。
「どうせ自分には無理」「また失敗するかも」といった言葉は、思考にも感情にも影響します。「起きていないことは考えない!」それが一番大事なことです。
意識して、「とりあえず頑張ってみよう」「失敗したら、その時また考えよう!」とポジティブな表現を選んでみましょう。
「自分ならできる!大丈夫!」など、無理にポジティブになる必要はありませんが、視点を変えるだけで自分への見方も少しずつ変わり、自尊心が整いやすくなります。
6.小さな成功体験を繰り返す
大きな成果よりも、日々の中で「できた」と思える小さな経験を積み重ねることが、自信につながります。
たとえば、「ずっと置きっぱなしにしてた段ボール片付けた」「今週はペットボトルのゴミ出しを忘れなかった」など、些細なことで構いません。
小さな成功体験は、自分の自信へと繋がり、自尊心を少しずつ育ててくれます。
どんな結果よりも行動できた自分の過程をしっかり認めてあげることがポイントです。
7.その時の自分の感情を大切にする
「こんなことで悲しむなんておかしいかな」「イライラしちゃいけない」と、感情を抑え込んでいませんか?
どんな感情もあなたにとって大切なサインです。自分の感情を我慢しているときや押さえているときは、心のSOSサインかもしれません。
自尊心を保つには、自分の感情を正直に感じて、認めてあげることが欠かせません。「今、私は悲しい」「不安に感じている」と言葉にしてあげるだけでも、心は少し楽になります。
感情を否定せず、そのままの自分を受け入れることが、自分を大切にする第一歩です。
いつだって、自分を一番大切にしてくれるのは自分だけ

ここまで、自尊心が低い原因や、高めるためのさまざまな方法についてご紹介してきました。
自尊心は、自分らしく生きていくための土台となる大切な心の軸です。
ですが、自尊心を意識や考え方だけで保つのは難しいものです。その上、自尊心に影響を与える周りの人々や環境は、そう簡単に変えられるものではありません。自分でコントロールできるのは、結局は自分自身のみ。
とはいえ、自尊心が低くなってしまう自分自身を責める必要はまったくありません。それも人としての個性のひとつです。
まずは、無理なくできそうな範囲から。自分自身の意識や習慣を少しずつ変えて、充実した生き方を模索してみましょう。