選ばなかった未来に、時々手を伸ばしたくなる夜もある

Edit by tomoda

あの恋を、今も心のどこかで抱えている

時々ふと思い出す。あの人の声、横顔、くしゃっと笑った表情。

もう戻れないと分かっているし、戻りたいとも思っていないはずなのに、記憶のどこかで色褪せずに残っている。

好きだった。心から。だけど、好きだけじゃ続けられない年齢になった。

恋愛に年齢は関係ないかもしれないけれど、がむしゃらに、ただ“好き”だけで無条件に相手を信用できてた時とは違う。

さまざまな経験をして、多くの時間を過ごしたからこそ、見えた別々の道。

お互いを想っていたからこそ、選んだ「別れ」だった。

別の人生を想像してしまう夜もある

寂しさに溺れそうになる夜。

「もし、今も彼と一緒にいたらどうなっていただろう。」そんな“もしも”の未来を想像してしまう。

彼と一緒に選んだ道では、きっと今の友人にも、この街にも、この仕事にも出会っていなかった。今あるこの日常は、彼と離れたからこそ、手にしたもの。

そう思うたびに、少し救われるような、でも少し苦しくもなる。

“後悔”とは少し違う。ただ、心の奥に、もうひとつの人生がそっと眠っているだけ。

手放したはずなのに、完全には消えてくれない感情。優しかった記憶も、すれ違いの痛みも、全部を抱えたまま、大人になっていくしかないのかもしれない。

今ここにいる私を、ちゃんと愛したい

人はいつも、選ばなかった道のことを考えてしまう。でも、今ここにいる私が、あの頃の私の精一杯の選択の結果だ。

傷ついて、迷って、それでも前を向こうとした私が、今の私をつくってくれた。

だからこそ、忘れられない恋も、きっと私の一部。無理に消すことも、なかったことにする必要もない。

思い出すことがあってもいい。忘れようとする作業は、思い出す作業と一緒だから。無理やり過去にしなくてもいい。無理やり忘れようとしなくてもいい。

あの恋を経て、今の私がいる。その事実を、大切に抱いていけたらと思う。

いつか、心のどこかで「ちゃんと前に進めたな」と思えるように。
いつか、あの頃の私たちを「かわいかったな」と思えるように。
いつか、あの頃の思い出を愛おしく抱きしめられるように。

私はこれからも、過去の自分の選択に自信を持ち、今の自分を愛しながら、生きていきたい。

tomoda

Chief Editor

メディアディレクター・編集者。恋愛も仕事もがんばるフリーランス。