

9種類の自立について

結婚して家庭を築く覚悟を決めるとき、真っ先に頭に浮かんだのは、「私は、いくつの自立を達成できているだろう」ということ。
- 経済的自立
- 精神的自立
- 生活的自立
- 社会的自立
- 道徳的自立
- 情緒的自立
- 意思決定の自立
- 学問的・知的自立
- 老後の自立
要するに、自分の考えや価値観を確立し、積極的に働き、収入を得て、一人暮らしでも全く困らずに日常生活が送れて、老後は一人でも生きていけるだけの資産形成を行う。社会や道徳的な良し悪しも判断して行動するし、自ら学び続ける行動力を持ち合わせていること。
そんな完璧な人間、どこにいるのだろうか。
結婚する方の多くが、20〜30代のうちに決断しているが、20~30代のうちに老後の自立までできるだろうか。全てを持ち合わせているのだろうか。
ただ、一定の自立があってこそ、円満な家庭が築けるのも事実だと思った。
そして、同時に、心身ともに健康な成人男女が自立することは、そこまで難しくないということも知った。
円満な夫婦を比翼の鳥に例えられることがあるけれど…

夫婦円満や深い愛を表す際に、「比翼の鳥」に例えられることがある。
比翼の鳥は、一対で生きている。オスとメスがそれぞれ片方の翼と目しか持たず、常に一緒にいないと飛べないことから、お互いに支え合う仲の良い夫婦の姿を「比翼の鳥のような関係」と例えたらしい。
それなら、パートナーが倒れた時は?身体的、または精神的不調の時は?
反対に自分が身体的、または精神的不調の時は?
夫婦は、どのように飛ぶの?
そんな疑問が生まれた。
「病める時も健やかなる時も─」と誓うけれど、相手が病めるときに自分が自立していないと支えられないのは、当たり前のことではないか。
自分自身が自立していて、相手に対して愛を持つことで、初めて成立する誓いだと思った。
せめてもの自立をしていたい。パートナーと人生を共に歩くために。

せめて二人が生活できるだけの、経済的自立を。
相手が精神的に不調になった時も寄り添えるだけの、精神的自立を。
相手が体調不良の時に支えられるだけの、生活的自立を。
子どもが生まれた時に社会のルールやマナー、道徳心を教えられるだけの、社会的自立と道徳的自立を。
相手に依存せず、自分の感情を自分で処理するだけの、情緒的自立を。
他人の意見やマスメディアに流されず、自ら考えて判断するだけの、意思決定の自立を。
常に自分で考える力を補うための、学問的・知的自立を。
いつかは、高齢になった時も生きていけるだけの、老後の自立を。
寄りかかるのではなく、支え合うこと。
たとえ、寄りかかられることがあっても、支えるだけの強さが必要だと思った。
自立が困難な場合もあるけれど。だから愛がある。

全ての人に対して、「自立していないと円満な家庭は築けない」と思っているわけではない。
必ずしも、五体満足で生まれるとは限らない。障害抱えていないとは限らない。
最初から生活的自立や経済的自立が難しい場合もあると思う。
他にも、過去に大きなトラウマを抱えていて、精神的自立が難しい場合や、大人になってから大きな病気が見つかる場合もある。
他にも、まだまだ人の数だけ事情が存在すると思う。
自立が困難な時に、「相手を支えたい」という気持ちが愛だと教えてくれたのも事実だった。
自立していればいいとは思わない。愛も必要だ。思いやりも大切だ。
自分の弱いところ、悩みを打ち明けられること。
自分の素をさらけ出せること。
身体のこと、心のこと、お金のこと、将来のこと、なんでも話し合えること。
その人といる時の自分も愛せること。
自立と愛が、一つの夫婦を生み、家庭を作っていくのだと思うと、とても尊くて愛おしいことだと思った。
結婚せず、一人でも幸せで在られる今の時代でも、「夫婦っていいな」と思えた、瞬間だった。